【運用レポート】初の海外イベント「g0v summit 2018」

なんとUDトークが台湾で開催されたイベント「g0v summit 2018」(ガブゼロサミット)で活用されました。このサミットはアジア最大級のシビックテックイベントで世界各国からの参加者が来ます。世界でも進んでいると言われている台湾のシビックテックはとても注目されています。

https://summit.g0v.tw/2018/


シビックテックとはここでもたびたび触れていますが、オープンデータやITの活用で地域課題に取り組みアプリやサービスを開発したり、自治体と連携して市民協働で地域課題に取り組んでみよう、と言った活動です。UDトーク開発者の僕も東京都練馬区でCode for Nerimaを立ち上げてみなさんと地域課題に取り組む活動をしています。日本からはCode for Japanの代表の関さんがサミットに登壇されることもあり日本からのCode for 関係者やシビックテッカーの参加者もたくさんいらっしゃいました。

ここでUDトークが使われることになった経緯ですが、先月行われた日本のシビックテックイベント「Code for Japan Summit 2018」にg0vのメンバーの方がゲストとしていらっしゃいました。そこでUDトークですべてのセッションに多言語のリアルタイム字幕がついてることにとても興味を持たれて、g0v summitも全部屋すべてのセッションにUDトークで字幕をつけてみたいと言うことに。そしてこの間なんとたった2週間!g0vの意思決定の速さと動き、すばらしいです。iRig2などの機材や配線や使い方などすべて自分たちでやってくれました。しかもなんとUDトークをパートナーとして扱っていただき、スクリーンやパネルに「UDトーク」のロゴが!協賛の紹介でもUDトークと読み上げられるなど、日本のアプリ・サービスが世界のイベントで認知された(大げさw)わけです。ロゴはあえて日本語(カタカナ)にしました。それもインパクトあったように思えました。

各国の参加者が来るg0v summit、中国語と英語の音声通訳がすべてのセッションにありました。これはすべてg0v summitのボランティアで行っているとのことです。なので内容を知っている人たちが通訳をするので、非常にわかりやすい通訳だったとのことです。こういうのを外注ですます日本のイベントとは大きな違いがあることを感じました。
UDトークの運用ですがスピーカーの方は主に中国語(台湾語)で英語の方もいらっしゃいました。各部屋の音響担当者が話者によって英中の音声認識を切り替えます。修正を専任で担当できるスタッフはいませんでしたが、これもCode for Japan Summitと同様「編集可能なQRコード」を配布し、参加者でオープンに行っていく方法をとりました。時々誰かが修正をしてくれていたようです。僕も英語の編集に挑戦をしてみました(笑)。

入り口に中国語、日本語、フランス語、英語のチラシが置かれて、みなさん初日に持っていかれたようでもう2日目にはフランス語しか残っていませんでした(笑)。各部屋(R0〜R3)の入り口にも大きくQRコードが印刷されており、字幕が必要な方はここで読み取ってみることもできます。手元のスマホやタブレットで好きな言語で見ながらセッションに参加することができます。

またすべてYouTubeですべてのセッションの生配信も行っているのでiPadであればプレゼンテーションモードで字幕付きでみることもできます。これはかなり知ってる人じゃないとできない応用でしたが(ほぼ僕だけw)、g0vのスタッフに見せたら面白いがって見てくれてました。

UDトークの国内での積極的な翻訳での運用がないなかで、飛び越えて海外で先に前例ができてしまったことはUDトークにとってもとても大きなことです。しかも手元で見る字幕がこんなに快適なのかと、自分自身でも体験してきました。そうなんです、今回あえて英語の同時通訳は聞かないですべてUDトークだけで参加をしてきました!もちろん自動翻訳の精度は完璧ではありませんが、資料と雰囲気と合わせると内容をなんとなく把握することができ、日本で聴覚障害の方はこうやってUDトークを見ているのかと改めて「見て使う立場」に立てたのはとても良かったです。おかげで沢山改善点が見つかりました。

いくつかのセッションに参加してきたのですが、ひとつ台湾のろう者や手話の課題を取り上げるセッションがありました。事前に引き合わせていただき、僕の日本でのアプリを使った取り組みなどをお伝えしました。そしてセッションですが、なんとUDトークをスクリーンに出すということに!なんとも日本で見慣れた風景で「ここ台湾ですよね?」と思ったくらい(笑)。スクリーン、手話、手元での多言語字幕と、ここ台湾でも理想的な情報アクセシビリティの形が実現しました。その後もg0v summit期間中にいろいろ交流させていただき、またUDトークの中国語字幕でいろんなセッションに参加していただけたみたいです。台湾では音声認識で字幕を出すと言うのはまだなく、もしかしたらg0v summitが「台湾初の自動字幕」だったかもしれません。そしてセッション後はこれもまた見慣れた光景で手話を読み取って文字化して日本語に翻訳されて僕は会話をすることができました。こちらからは日本語で喋ってUDトークの文字で見てもらう。実は日本語の言い回しがなかなかうまく中国語に変換されなくて。途中英語を混ぜたりしながらコミュニケーションを取りました。とても貴重な時間を体験させていただきました。

僕はわりとメインの会場にいて全体的な大きなテーマの基調講演を聞いていたのですが、多くの方がオープンにすることやインクルーシブやダイバーシティの大切さを話しておられました。まさに今回、UDトークでその一つのピースを提供できたのではないかと思います。
こうして日本と台湾でシビックテックと言う活動でつながり、UDトークと言うアクセシビリティの技術も提供することができたのはこの先の社会課題解決に向けてとても大きな一歩だと感じています。これからもg0vと台湾のろう者コミュニティの方たちにはUDトークを活用してもらいたいなと思いました。さて、この実績を引っさげて、日本で開く海外ゲストを招いたイベントにイノベーションを起こしていけたらと思います。十分すぎる前例ができた、と言うことで。

g0v summittのみなさま、ほんとうにありがとうございました!