レポート(教職大学院聴覚障害学生)


タイトル

UDトークを授業内でのディスカッションで活用するために実践したこと

キーワード

討論、発言者、参加者

それまで抱えていた課題

私は、聴覚障害があります。補聴器装用で音の存在があるのは分かりますが、言葉として理解することができない状況です。私が在籍している専攻では、学校現場で働いている教員や大学を卒業した学生が、教師に必要な力を高めるための研修と学校現場における問題を解決するための研究を行っています。授業では、テーマに基づいて討論を行うことが多いのですが、私は複数の発言者の話す内容を理解することが難しく、またどのように発言をしたらよいか分からないという課題を抱えていました。

実践内容・方法

本学の准教授である松﨑丈先生から、発言者の話を文字化してくれるUDトークの存在を教わりました。そこで、私はUDトークを用いてディスカッションができるように、以下の3つのことを実践しました。

1) UDトークについて多くの人に知ってもらうために、同期の学生を対象にしたUDトーク説明会を行いました。聴覚障害のことについて説明した上で、UDトークをダウンロードしたスマートフォンやタブレット端末などの扱い方について話しました。例えば、口元から電子機器まで10cm以内で話すことや、話し終えたら画面上にあるボタンを押すことなどを話しました。参加者は音声が文字に変換されることに驚きを感じていたようでした。また、「はっきり話さないといけないという意識が生まれた」「1回の実践だけでは使いこなすのが難しいため、再度の実践が必要である」という声が挙げられました。

2) 授業内でUDトークを用いたディスカッションを行うために、ディスカッションを行う授業の先生方にUDトーク使用の依頼文書を作成しました。文書には、UDトークの概要を述べるとともに、授業内で電子機器を用いる許可をいただくためのお願いを記しました。また、授業内でディスカッションがある際には、一週間前に私まで連絡いただけるようにお願いをしました。

3) UDトークの機能を最大限発揮させるための環境を自ら設定しました。授業前に、マイクをつなげた発言用のスマートフォン2台、テレビやスクリーンなどのモニターに表示するための表示用のタブレット端末を用意しています。タブレット端末は、発言者の話した内容が正しく認識されているか全員で確認することを目的に用いています。そうすることで、参加者は、自然にUDトークを活用してくれるようになりました。

上記1)~3)を実践することで、授業内のディスカッションではUDトークを活用することが当たり前の雰囲気になってきました。発言者の考え方をスムーズに受け取ることができるようになり、自分で情報を取捨選択することのできる喜びを感じています。

今後の展望

今後は、参加者が誤認識された発言内容を自然に訂正できる環境を作り出す方法を考え、実践する予定です。正しく文字化されなかった発言者の内容を、そのままにしてしまうことが多く見られたからです。そのため、話し合っている内容が分からず、自分の意見を言えないことがあります。そこで、私は聴こえる人の意見を尊重しつつ、自分のニーズを発信していく予定です。相互の歩み寄りがあることで、参加者全員が安心して話し合いに参加することができ、それぞれが発言することのできる居場所づくりにつながると考えています。

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